フランチャイズ本部の名前と経営ノウハウを借り、その使用料としてロイヤリティを支払うというフランチャイズ契約。そこには未経験者にとっても魅力的な幾つかのメリットがありますが、同時に多少のリスクも存在します。ここではその詳細を取り上げます。
フランチャイズのメリットの一つは、やはりそのブランド力。本部がすでに築き上げた知名度を利用できるため、消費者からすれば新しくオープンした店でも「知っているお店」となり、入店のハードルが大きく下がります。
その土地にそのブランドのファンさえいれば、集客に困ることは殆どないでしょう。開業したのは良いものの顧客が付かずやむなく閉店、というリスクが低いのが、フランチャイズに加盟する大きな魅力と言えます。
フランチャイズ本部にはすでに集客や黒字経営のためのノウハウが築かれており、それらのノウハウを提供してもらい利用できるというのもメリットです。個人で経営するとなればオーナー自らが経験を通してこれらのノウハウを築いていく必要がありますが、その前に経営が立ち行かなくなってしまうことも少なくありません。
一方フランチャイズであれば最初から事業計画のアドバイスや設備の選定、人材教育や経営マニュアルなどを伝授してもらえるため、失敗が少なく比較的スムーズに運営をスタートさせることができるわけです。
個人での開業であろうとフランチャイズでの開業であろうと、開業のためには高額の初期費用が必要となり、金融機関に融資を依頼する必要があるかもしれません。融資の審査に通るための大きなポイントは信用ですが、この点フランチャイズであればすでに本部への信用が築かれている場合も多いため、個人で依頼するより審査が通りやすくなる可能性があります。
また本部が特定の金融機関と懇意にしており、加盟店に紹介するというサポートを行っているケースもあります。
これは「ブランド力を利用できる」というメリットと背中合わせのリスクと言えるのですが、フランチャイズにはすでにブランドイメージが確立されており、何らかの事件をきっかけにこのイメージが大きく下がってしまうと、加盟店すべてがその影響を受けてしまいます。
特に近年はスマホとSNSの普及により1つの加盟店が不適切な行動をとるとその様子がアップされ、全国に知れ渡ってしまうでしょう。自身の落ち度ではないのに、本部や他店の不始末により売上が落ち込んでしまうというリスクがあることを覚えておきましょう。
フランチャイズ契約には契約期間が定められており、多くは3~5年、業種によっては10年以上経営を続けなければならないとしているところもあります。この期間を待たずに閉店、つまり中途解約する場合には、違約金や損害賠償が発生してしまいます。
経営不振やオーナーの置かれている状況の変化などにより予定より早く廃業する必要があるときに、個人経営であれば何の縛りもありませんが、フランチャイズの場合は大きな損失を被る可能性があります。このためフランチャイズに加盟して開業する場合、そのお店は自分だけの店ではないということを覚えておく必要があるでしょう。